書に耽る猿たち

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『ジュラシック・パーク』マイクル・クライトン|なぜこんなにも恐竜に魅了されるのか|withコロナ小説 

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ジュラシック・パーク』上下 マイクル・クライトン 酒井昭伸/訳

早川書房[ハヤカワ文庫] 2023.1.17読了

 

名の映画を知らない人はいないだろう。私は確か中学生の時に映画館で観て、未知なる恐竜のうごめく姿とその映像技術の高さに圧倒されて、めちゃめちゃ楽しかった記憶がある。私にとって恐竜と聞いて思い浮かぶのは、映画『ドラえもん のび太の恐竜』、そしてこの『ジュラシック・パーク』だ。

 

スタリカの離島(架空の島)に、バイオテクノロジー(生物工学)を駆使して作った恐竜を育て、娯楽施設を作っている企業があった。完成間近のこの「ジュラシック・パーク」に、古生物学者や数学者らが招かれた。パーク内を案内されるが、恐竜の動きが攻撃的に、そしてパーク内が停電になったりと不可解なことが起こる。何かのトラブルか。恐竜たちが人間に襲い掛かってくるが、彼らはどうなるのかー。

物学的、化学的なストーリーで専門性があるのに、物語自体は非常にシンプルでわかりやすい。悪者がいて、正義の味方がいて、無邪気な子供がいて、解き明かすべきものがあって。そして何よりも、私たちがイメージする太古の恐竜がこの作品には登場し、巨体をうごめかして自由奔放に動くのだ。もうこれだけでワクワクする。でもきっと文章だけではこの興奮は起きず、漫画や映像が事前に頭の中にあるからそれが頭の中で再現されるのだと思う。

が痛くなりそうな技術的な話やパソコンのコントロール画面も出てくるのだが、それがちょうどいい塩梅(私のような文系丸出しの頭でも理解できるかできないか位)の説明量で言い回しも簡潔だから、めげることも嫌になることもなく読み進められた。映画よりも詳細で、これはこれで理解が深まりおもしろかった。最後はホッとするというか、人間を攻撃する嫌な恐竜のイメージはなくなり安心できた。

 

ュラシック・パークのブームはとうに過ぎたのに(去年あたり、続きかスピンオフをやっていたような…?)、どうして今頃読んだのかというと、どなたかのブログで、去年読んだ本でいちばんおもしろかったというのを読んだから。そのブログも一緒に紹介しようと探したのに、見つからなくなってしまった。ちゃんとブックマークしておかないとダメだなぁ。

竜ってどうしてこんなにも人を魅了するのだろう。主人公である古生物学者アラン・グラントは、子供たちが恐竜に魅せられる理由として「親と同じく、愛すべき、畏怖すべき対象なのだ。だから子供たちは、親を愛するように、恐竜を愛するのではないか」としている。小説の登場人物のなかでは、天才数学者イアン・マルカムに惹かれる。

 

は子供の頃よりも大人になってからのほうが恐竜に興味を持っている気がする。といっても見分けがつく恐竜はティラノサウルストリケラトプス、ステゴサウスくらいのニワカではある。前から気になっている福井県の恐竜博物館にいざ行くぞ!と年末年始に意気込んで調べてみたところ、なんと現在改装中で営業していなかった…。今年の秋以降にお預けのようだ。

 

巻を残すところわずかになった時に、ついに私も新型コロナウイルスに感染してしまい、数日間読書が止まってしまった。症状が落ち着いてからは、少しずつ読み始めている。コロナにはかからない、感染したとしても軽症だろう、と根拠のない自信があったのだけれど、まさかの3日間の高熱はキツかった…。個人差はあると思うけど、感染しないのが一番、健康第一。ということで私の中で小説『ジュラシック・パーク』はコロナ感染とセットで記憶に残るに違いない。