書に耽る猿たち

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『世界でいちばん透きとおった物語』杉井光|タイトルが意味するものは・・・!

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『世界でいちばん透きとおった物語』杉井光

新潮社[新潮文庫nex] 2023.6.13読了

 

この段落だけは、この本を読む前に書いている。私は「透きとおった」という言葉に何かヒントがあるんじゃないかと思った。「透明な」でもなく、変換して出てくる「透き通った」でもない。ちょうど先週末に観た「王様のブランチ」で作者の杉井さんが出演されており、文庫本であること、紙の本であることに何か意味があるようなことを言っていた。どうして紙の小説ではないと表現できないのか、紙の薄さとかそういうところにも関係しているのだろうか。リアル書店でもそうだが、ここのところTwitterのタイムラインでも賑わせているこの作品、気になって仕方なかった。

 

 

さて、読み終えて、、

 

るほど、そういうことだったのか。私自身は終わりの方になるまで全然気が付かなかった!なるほど~。騙されたという表現は違うよな、なんというか、唸るしかないのだ。とりあえず、最初に書いた上の文章、核心に触れていたり何か影響するなら消してしまおうとか思っていたが、残したままなので、まぁそういうこと。

 

タバレを避けて何かを書くのは難しい。ストーリーとしては、大御所ミステリ作家が亡くなり、遺稿として残した小説を探すという、まあよくありがちな設定だ。その遺稿が『世界でいちばん透きとおった物語』という、この本のタイトルでもある。作中に登場する実在の(実在した人もいる)小説家は、私も大好きな作家である。名前を出すと何かを勘づかれてしまいそうなので挙げられないけれど。

 

もそも「新潮文庫nex」のレーベルの本を買ったのは初めてだ。キャラクターと文学の融合を目指した次世代の作品と位置付けているらしい。KADOKAWAメディアワークス文庫のような感じだろうか。新潮文庫なのに、スピンが付いていないのがちょっと淋しい。もともとスピン派ではなく栞派ではあるが、新潮文庫には未来永劫、スピンを付けて欲しいなぁ。あと、普通の新潮文庫に比べて、紙質が若干分厚めだったのが気になった。