書に耽る猿たち

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『トゥルー・クライム・ストーリー』ジョセフ・ノックス|読んで自分がどう感じるか、それがすべて

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トゥルー・クライム・ストーリー』ジョセフ・ノックス 池田真紀子/訳

新潮社[新潮文庫] 2023.10.17読了

 

害者も関係者も、作者自身すら信用できない。語りを中心に構成される文章(メールやSNSもある)、そして挿入される作中作。私の苦手なものが満載であんまり読む気が起きなかったのだが、、間を空けてしまうと積ん読まっしぐらな予感がするので、分厚いけど意を決して読み始めた。

 

ンチェスターの女子学生ゾーイ・ノーランが6年前に失踪したまま未解決事件となっていた。これをイヴリン・ミッチェルという作家が関係者に取材し、その結果をインタビューという形式のノンフィクションにまとめた書籍が『トゥルー・クライム・ストーリー』である。

 

和感ありありなんだろうなと予想してしたが、とりあえず、書かれていることを疑いもせずに信じて読んでみようと試みた。そうすると、するするっと頭に入ってきて、ストーリーが俄然おもしろく夢中になってわりあいに早く読み終えた。

 

ーイの双子の姉、父親、恋人、ルームメイトや友人、大学教授。考えだすと全員が疑惑の人となるが、そうやってあれこれ考えるのが正しい読み方なんだろう。作者の狙い通り。色んな宣伝文句は必要ないな。というか何も見ないで読むのがいい。読んでどう感じるか、それがすべて。

 

待しないほうが圧倒的に楽しめるよなぁ。期待しつつそれを上回る内容だったらそれはそれでものすごい作品なのだが、そういう作品は滅多にない。同じような「信頼できない語り手」タイプで最近読んだ『恐るべき太陽』よりも私としては読みやすく楽しめた。

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