
『夜明けまでに誰かが』ホリー・ジャクソン 服部京子/訳
主人公である高校生のレッドは、春休みに親友らとRV車(キャンピングカー)に乗って春キャンプに向かう。ところが途中で道に迷い、携帯の電波も繋がらず途方に暮れる。しかも何者かにタイヤをパンクさせられ、燃料タンクを撃ち抜かれてしまう。狙撃者からは「ある秘密を明かせよ」とのメッセージが。
絶体絶命の状況下において、車の中にいる6人はどのようにして謎を解き脱出できるのか。刻々と迫る「夜明けまで」というタイムリミットに緊張感とスリル満点である。ちょっと無理がある設定に「あり得ないよー笑」と苦笑いしながらも、先が気になって頁をめくる手を止められない。読み手を飽きさせないからくりが上手くて、さすがのストーリーテリングだ。
レッドも含めて、誰しもがなんか怪しいというか信じがたい部分を持っていて、それはまぁこういう密室ものならありがちな設定ではあるが、そんなことよりも登場人物の一人に腹が立って仕方なかった。こんな奴なのによく一緒に旅行なんか行くよなーって。
誰のどんな秘密を狙撃者は知りたがっているのか?車の中にいる6人はそれぞれ秘密とおぼしきものを抱えていて、それが順番に明かされていく。まぁ秘密なんて誰にでもひとつやふたつあるよな。
2022年に売れに売れた脱出劇を描いた日本の某小説は私はちょっと合わずにガッカリしたけれど、あれに比べると出来が全く違う。さすがイギリス文学だなという感じ。国内のヤングアダルト小説はほとんど読まないけれど、これは日本でイメージするものとちょっと違って、青春感はありながらも本格サスペンス要素がふんだんに盛り込まれている。
ホリー・ジャクソンの作品では『自由研究には向かない殺人』から始まるピップ三部作のほうが私は好きだ。急いで読んでしまう(決して急ぎたくはなくて先が気になり早く読まざるを得ない)作品よりもじっくり味わって読みたいからな。というか、、ピップ三部作なのに、最後の本を未読だったのに今気付いた…。