書に耽る猿たち

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『マーダー・ミステリ・ブッククラブ』C・A・ラーマー|クリスティ愛に溢れたライトなコージーもの

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『マーダー・ミステリ・ブッククラブ』C・A・ラーマー 高橋恭美子/訳

東京創元社創元推理文庫] 2022.11.23読了

 

のタイトルと帯の文句を見ただけでワクワク感が止まらない。ミステリ好きかつクリスティ好きなんて!私は読書会というものに参加したことがない。読みたい本ってその時によって違うし自分のタイミングみたいなものがあるから(今はミステリが読みたい、恋愛系がいい、歴史小説を読みたい、軽いエッセイしか無理、のような)、課題図書を読むことにちょっと抵抗がある。でも、この作品と訳者による解説を読んで一度は参加してみたいと思った。

む前は、クリスティやP・D・ジェイムズ作品のような濃密なミステリかと思っていたが、ライトなコージーものでとても読みやすかった。今の気分としては、その軽めのミステリを欲してたんだろうなぁ。同じ創元推理文庫のホリー・ジャクソン著『自由研究には向かない殺人』シリーズよりも軽い。ピップは高校生で、この作品の姉妹は26歳と30歳だからだいぶ大人なのだけど。

ステリ、そしてクリスティ好きなアリシアとリネットの姉妹は、読書会を立ち上げる。集まった面々は個性的なメンバー。順調に楽しく始まった読書会だったが、2回目の読書会でメンバーの1人、主婦のバーバラが無断欠席し行方不明になってしまうのだ。

もそもミステリ好きなメンバーたちがこのまま放っておくはずがない。ミス・マープルのおせっかいさながらに、口を挟みのめり込んでいく。2回顔を合わせただけでこんなに皆が仲良くなるはずないよなとか、今どきこんなにアナログな作戦でいかないよな、とか?マークも多々あったけれど、なかなかどうしてテンポ良く楽しく読めた。

分自身そんなにミステリに傾倒しているとは思っていないが(本のジャンルとして普通に好き)、何かの事件がテレビで報道されたり、ちょっとした不穏な気配を感じると、クリスティー作品に出てくる毒薬・身代わりを疑ったり、何らかの過去に繋がりはないかを考え、突飛な想像を変に巡らせてしまう。このメンバーたちはその度が越している。

者のクリスティー愛が溢れ出ている作品だ。もしかしたら、全ての作品を読み尽くしている人ならこの作品のカラクリはわかってしまうかも。クリスティー作品はまだ未読のものがたくさんあるけれど、次に読みたいなと思ったのが『白昼の悪魔』と『クリスティー自伝』だ。『白昼の悪魔』はマーダー・ミステリ・ブッククラブ第1回目の課題図書に選ばれている(ちなみに第2回は『スタイルズ荘の怪事件』、第3回は『オリエント急行殺人事件』)。

のマーダー・ミステリ・ブッククラブはシリーズ化されているようで、来月第二弾が刊行される。東京創元社は単行本をスルーしていきなり文庫本で刊行してくれるのはなかなか嬉しい。あとは文庫本の文字フォントをもう少し大きくしてもらえれば言うことはないのに。

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