2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧
『狂王の庭』小池真理子 角川文庫 2019.8.23読了 恋愛小説である。こういった恋愛ひとすじの小説を読んだのも久しぶりな気がする。10代、20代のころは恋愛小説が好きだったはずなのに、最近は全くそう思わない。若い時は、そもそも現実において「恋愛」が全…
『燃えあがる緑の木』 大江健三郎 第一部 「救い主」が殴られるまで 第二部 揺れ動く(ヴァシレーション) 第三部 大いなる日に 新潮文庫 2019.8.21読了 たまに、大江さんの小説が読みたくなる。読み始めて、あぁ、やはり難しいな、とか、よくわからないな、…
『三体』 劉 慈欣(りゅう・じきん) 大森望、光吉さくら、ワン・チャイ / 訳 早川書房 2019.8.17読了 今どこの書店に行っても、必ず積み上げられているであろう単行本。SF小説はそんなに好きなわけでもないのだが、あまりにも話題になっているため気になって…
『夏物語』 川上未映子 ★★ 文藝春秋 2019.8.14読了 芥川賞を受賞した『乳と卵』と繋がっている話のようだ。川上未映子さんの作品を初めて読んだのが『乳と卵』だったので、比較的覚えていた。第一部はほとんど続きといってもいいような感じで、途中に日記が…
『「カッコいい」とは何か』 平野啓一郎 講談社現代新書 2019.8.12読了 平野さんは、小説以外でこのテーマをずっと書きたくて温めていたそうだ。これを読んだ後、なんだか気軽にカッコいいという言葉を使うのが憚られるような思いになった。「カッコいい」と…
『ビビビ・ビ・バップ』 奥泉光 講談社文庫 2019.8.10読了 いつも思うのだが、未来を描くディストピア小説を書く人の頭のなかはどうなっているんだろう?不思議なことこの上ない。現代ものは特段問題ないのは言わずもがな、歴史小説なら過去の文献を調べたり…
『夏の騎士』 百田尚樹 新潮社 2019.8.3 読了 43歳の遠藤宏志が、小学生の頃のひと夏の思い出を回想するストーリーである。読み心地は、さすが百田さん、抜群に良い。誰もが読みやすく、誰もが読了後には爽快な気持ちになると思う。 特に男の子であればほと…
『不時着する流星たち』 小川洋子 角川文庫 2019.8.1読了 小川 洋子さんの小説は繊細だ。長編小説でもそうだが、短編であればなおさら、丁寧に扱わないと壊れそう。小説が、本が、壊れるという表現はおかしいのに、何故だかそう思わせる。 この短編集は、そ…
『赤い月』 上・下 なかにし礼 ★ 岩波現代文庫 2019.7.31読了 波子たちが牡丹江からハルビンへ向かう軍用列車に乗っている20日間の出来事が壮絶である。汽車が止まる度に、ソ連軍の攻撃からなんとか逃げ、満鉄社員に金目の物をあげて列車を動かしてもらい、…