書に耽る猿たち

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『ホビットの冒険』J.R.R.トールキン / ホビットとドワーフと一緒にファンタジーの世界に

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ホビットの冒険』J.R.R.トールキン  瀬田貞二/訳

岩波書店 2019.10.12読了

 

リーポッターシリーズはほとんど読んだけど、ロード・オブ・ザ・リング指輪物語)シリーズは映画を少し観ただけで、原作は読んだことがなかった。『指輪物語』の前日譚としてのホビットの話からまず読んだほうがいいようで、瀬田さん訳の岩波書店のものを選んだ。この本のなんとおしゃれなこと!ちょっとしたプレゼントにしたいような、そんな表紙デザインで、児童書ではあるが少し大人向けにアレンジされているようだ。大人になってから読む児童書や絵本がまたすごく良い。

ビット村でのんびりと生活をしていたビルボ・バキンズの元に、魔法使いのガンダルフら13人のドワーフ達が現れ、ビルボを冒険に誘う。竜に奪われた財産を取り戻すための冒険の日々を描いた物語だ。ホビットは、身長1mたらずの小人族で穏やかな生活を好み、食べることが大好き。ドワーフホビットの違いがよくわからないのだが、ドワーフのほうがもう少し大きくて、鍛冶などが得意、寿命250年ほどらしい。ちなみに、白雪姫に出てくる小人たちはドワーフらしい。

々な敵と対峙して、その度に勇気を手に入れ、仲間の大事さに気付く。ストーリーは確かにわかりやすく先も読めるのだが、ファンタジーの世界に入り込めるのは楽しい。あの指輪がこうやって登場したのか、と納得できた。指輪はビルボから、フロドに渡る。

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ールキンが自ら描いた挿絵がところどころにあり、とても暖かみがある。児童書だからひらがなが多いのは仕方ないのだが、横書きになっているのが少し読みにくい。やはり、日本語は縦書きの方が読みやすいし、美しい。

童文学だからといって、軽くみてはいけない。世に溢れているたくさんの小説、文学賞を受賞している作品でも駄作はあるし、そういうものより児童文学のほうが心を奪われることはままある。児童向けのほうが大事なことをストレートに訴えかける。しばらくしたら、『指輪物語』を読もう。文庫で10冊だから、読み始めるのに少し覚悟が必要だ。