書に耽る猿たち

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フルハウス「柳美里選書」が届きました

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大好きな作家の一人である柳美里さんは、2015年に鎌倉から福島県南相馬市へ移り住んでいる。本を執筆しながら2018年には「フルハウス」という書店を営まれている。フルハウスでは、注文したその人のために本を選ぶ柳美里選書」というサービスをされている。とても興味を持ったので私も頼んでみた。選書といえばいわた書店の「1万円選書」が有名だ。

 

誰かに本を選んでもらうなんてとても素敵なこと。それも、プロの作家さんに。過去には芥川賞をはじめ多くの賞を、そして去年全米図書賞を受賞されるなど優れた作品を数多く生み出す柳美里さんに選んでもらえるなんて楽しみなことこの上ない。

 

一昨年の11月に『命』4部作を読んでいるときにこの「柳美里選書」を知り、読み終えたあとすぐに注文した。なんと50項目くらいのアンケートに答える(かなり詳細な質問もあり)もので、1時間ほどかかったような気がする。選書の材料として柳さんなりに必要な内容なのだろう。夜中で眠かったけど、ここまできたらやったれと(確か途中まで保存が出来なかったような)。

 

お忙しいだろうし、ネットの何かで1600人待ちというのを目にして、のんびり気長に待とうと思っていたらいつの間にか忘れていた。去年、柳美里さんが全米図書賞を受賞されたときに、そういえばどうなったかな?と思い出した。注文してからの期間に引越しもしていたので気になった。

 

そんな折、今月上旬にフルハウスよりメールが!選書した本を事前にお知らせしてくださったのだ。この仕組みはとても良い。自分が読んだ本と重なってしまうのではと心配していたから。全て読んだことのない本だったので了承の旨お返事をし、代金をお支払いした。ちなみに、選書の金額と冊数は事前に希望を伝えられる。そして、ついについに2/18に小ぶりの段ボールが自宅に届いた。

 

◆選書いただいた本はこちら◆

(写真にUPしてるものです)

『沈黙の作法』柳美里 山折哲雄

『東京バラード、それから』谷川俊太郎

『四人の交差点』トンミ・キンヌネン

『キャッツ』T.S.エリオット

ガダラの豚中島らも

『あなたが私を竹槍で突き殺す前に』李龍徳

 

谷川俊太郎さんの詩集が入っていた。詩集は買ったことがないが、こういうのが選書してもらう楽しみ。自分では選ばない本に出逢うとびきりの機会。中島らもさんの『ガダラの豚』はいつか読もうと思っていたし、外国人作家の本はそもそも知らなかったけれどなんとなく好みな予感。『キャッツ』は文庫の小説かと思っていたら絵本だった!

 

写真にUPしていないが、ご本人の著作『沈黙の作法』には、宛名とコメント、サインもいただいたので大切な宝物にしたい。他にも直筆のお手紙まで入っておりとても心が温まった。あのアンケートをちゃんと読んでくれたんだなぁと喜びもひとしお。

 

ちょうど東北に大きな地震があった直後だったので遅れるだろうと思っていたのに、ちゃんと送っていただけた。大変な中、本当にありがたい。東北地方の方には心よりお見舞い申し上げます。

 

こういう取り組みは本当に素敵だと思う。普通、作者は自分の本を読んでもらうことが一番だと思うけれど、柳さんはそれだけではなく本そのものを愛しているんだなと感じ入る。作家としてだけでなく、ひとりの人間としての柳さんへの想いが深くなり、これからも応援したい。フルハウスにもいつか行きたい。選書いただいた本は、少しづつ読むことにしよう。

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