『御社のチャラ男』絲山秋子
大谷翔平選手の話題で持ちきりの毎日である。彼の好みの女性のタイプに「チャラチャラしていない人」というのがあるらしい。マスコミが言ってるだけかもしれないけれど。「チャラい」っていうのはここ30~40年くらいで浸透した言葉だろうか。
オリエンタルラジオの藤森さんがその筆頭かなと思う。彼はキャラクターにしているだけだけど。この本で書かれるチャラ男は、私が想像していたようないわゆる軽薄な「チャラ男」とは少し違っていた。
地方にあるジョルジュ食品という小さな会社が舞台である。三芳部長(彼が「チャラ男」と呼ばれている)を中心にして、彼に関わる人がそれぞれ独白をしていくという構成だ。チャラ男は見た目が良く、世渡りが上手い。でも、決して悪いところばかりじゃない。「こういう人いるよな」「意外に憎めないよな」と思い、そもそもこの本に書かれているのは、どこにでもある会社組織、そして社会の縮図なんだと気付く。
語り手が多くて、正直なところ途中少しだらけてしまった感があったけれど、最終章ではひとかたまりにまとまった感じがして、意外にもすっきりとした心待ちになった。自分もそうだけど、やっぱ日本の会社員ってこういうイメージなんだよな、「トホホ」という情けないような気持ちになってしまう。本心ではこういう働き方をしたくないのに、会社に属すということは自分を多少殺してしまうということなんだよなぁ…。