書に耽る猿たち

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『ミヒャエル・コールハース チリの地震 他一篇』クライスト|翻訳家も読者も熟練でないとなかなか難しい

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『ミヒャエル・コールハース チリの地震 他一篇』ハインリヒ・フォン・クライスト

岩波書店岩波文庫] 2024.04.06読了

 

イツ人作家の小説を読むのはなんと久しぶりだろう。名前は知っていたがクライストの作品は初めてだ。作家たちが好む、つまりプロの文筆家が好むのがクライスト。この文庫本には、表題作2作ともう一つの全3作の中短編が収められている。「他一篇」とするなら、もう一つもタイトルにしてしまえばいいのに、と思うのは私だけだろうか。ちなみにもう一つの題名は『サント・ドミンゴでの婚約』である。

 

ず一作目『ミヒャエル・コールハース』というのは馬商人の名前で、ある不当な扱いを受けた彼が復讐を試みていく物語である。国境を越えて、最終的には神聖ローマ帝国にまでスケールが大きくなり、読んでいて「なんでこんな話に発展したのだろう」と疑問と混乱の嵐になってしまった。マルティン・ルターとか出てくるし、一体全体どういうことよ。

 

の短編『チリの地震』と『サント・ドミンゴでの婚約』のほうがわりあいに理解しやすかった。それにしてもクライストの小説は結構残酷なストーリーが多いのだなぁ。

 

かなかに難解で何度もギブアップしかけたがなんとか読み終えた。一文一文の文章がわかりにくいわけではない。確かに改行もない頁を見ると威圧的ではある。しかしそんな小説は数多にある。訳者の解説によると「言葉への共感、語る声を感じとるという感覚、トランスレーション・スタディーズ(いかによい翻訳を行うかという実践的関心から距離をとる)」を基本の考え方として翻訳に当たっているそうだ。おそらくクライストの作品は原文も難解であって訳者を困らせるのだろう。そういう意味では、訳者も読み手も熟練でないとならないのかもしれない。読解力、まだまだだな…。