書に耽る猿たち

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『笑うマトリョーシカ』早見和真|味方だと思っていたら敵なんてことも

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『笑うマトリョーシカ早見和真

文藝春秋[文春文庫] 2024.09.09読了

 

見和真さんの作品は『イノセント・デイズ』や『店長がバカすぎて』が好評のようでとても気になっていた。読むのはこれが初めてだ。この『笑うマトリョーシカ』は今クールでテレビドラマにもなっており、先週最終回を終えたようだ。

 

くして官房長官に昇りつめた清家一郎とその秘書鈴木俊哉。彼らは高校時代に知り合った。父親のある過去が原因で自らは政治家になれないと感じた俊哉は、一郎の才能を見い出し、志を同じくして彼をサポートする形で夢に向かう。一方、「清家は誰かの操り人形なのでは?」と疑問を持った女性記者の道上は、彼らを謎を探っていく。

 

ょうど自民党総裁選の真っ只中ということで政界にうごめく心理戦みたいなものを想像しながら読んだ。候補者が過去一番の人数だそう。やはり議員になったらみな日本のトップ(総理大臣)になりたいものなんだな~。私たちが投票して決めるならば「あの人になるだろうな」と予測できるが、議員が投票するので一波乱ありそうだ。

 

想していたよりも読み応えがあった。先が気になって読み進めるしかない!ストーリーテリングの上手さと読ませる力はあっぱれだ。売れている作家さんの小説だなという印象。イラストを担当している方には悪いけれど、なんかこの表紙で損をしているような気がする(画自体の良し悪しとかではなく、若干お笑い感が否めないというか…)。まぁでもこのイラストだから本を手に取りやすいのかなという気もする。読みやすさでいうと東野圭吾さんや池井戸潤さん、米澤穂信さんの作品に近い。ミステリなのに疲れない、スルスルいける感じが程よくてたまには良い。

 

立った主役にはたいてい腹心の部下や右腕なる者が存在する。それは政治の世界だけでなく、一企業、あるいはスポーツ選手においても同様だ。でもこの小説のように「相手を利用しよう」とか「損得を考えて動く」なんてことを考えるとちょっと怖くなる。誰が味方なのか信じられなくなる。人間の内面は、正直なところ他人には見えないのだ。

 

ころで、もし東京近郊に住んでいる人がいたら、銀座にマトリョーシカ専門店があるのを知っているだろうか?お店自体とても素敵なのだがワークショップが開催されていて自分でマトリョーシカを作ったことがある。ブログやX(旧Twitter)のアイコンでも使わせていただいている(いい加減ちゃんと許可を取らないと…すみません汗)大好きな絵本作家・谷口智則さんの画から真似て作ったのがこちら。猿のことをブログであまり話せていないのでここいらで。

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