
KADOKAWA[角川ソフィア文庫] 2025.07.14読了
先日窪美澄さんの『夏日狂想』を読んで長谷川泰子さん(小説では野中礼子)に俄然興味を持った。実際の長谷川泰子さんはどんな人だったのだろうか。これは70歳になった泰子さんが当時の想いを綴り村上護さんが編集したものである。どこをどのように編集したかわからないけれど、話した口調もしくは文体が泰子さんそのものだとしたら、「てにをは」を省略しがちな方だったのだなと思った。
中也や小林だけでなく泰子のまわりには多くの男性がいた。誰も彼もが泰子の魅力に引き込まれるように集まるから、彼女の周りには常に人がいる。こうして読むと富永太郎という人物が魅力的だ。彼の優しい眼差しと透き通るような素直で美しい心は、病に侵されていたからなのかなと思う。もしこの病がなかったら彼も泰子と一緒になったかもしれない、なんて。泰子は富永からチェーホフの『六号室』を読むように勧められた。チェーホフ、実は読んだことないかも。
これは自伝だから実際にあったことで、泰子さんはありのままを書いているはず。しかし本当に全てが真実なのかもわからないし、泰子さんの誇張や勘違いや誤解もあるはずだ。中原中也や小林秀雄が実際にはどう感じていたかはわからない。若くして夭折した中也の想いは詩のなかだけにあるなんて、なんとロマンチックなことだろう。私は詩を好んで読まないし、良さもいまいちわからない口なのだけれど、中原中也さんの詩をちゃんと読んでみたいなと思った。
中也と同棲していたときよりも、離れているときの2人のほうが心は繋がっていたんじゃないかと思う。こんな愛の形もきっとあるんだ。
この自伝(やその他参考文献)から連想し、窪美澄さんは『夏日狂想』という小説を書き上げた。窪さんだけに限らないが改めて小説家とはすごいなと尊敬する。一人の人生をあのようなめくるめく物語に作り上げるのだから。
これが全面カバーがかけられたもの↓
映画で長谷川泰子さんを演じた広瀬すずさんの美しくかつ可憐な姿が目を惹く。広瀬すずさんは美しさと可愛さを併せ持った人だと思う。確か海外の映画祭でレッドカーペットを歩いた後、カメラマンの数がもの凄かったというのをテレビで見た。
