2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧
『友情』武者小路実篤 新潮文庫 2021.6.29読了 明治・大正・昭和を代表する文豪、武者小路実篤さんの『友情』を読んだ。もっとうんと昔の方かと思っていたら、亡くなったのは1976年だからそこまで古くはない。なんといっても「むしゃのこうじさねあつ」とい…
『舞踏会へ向かう三人の農夫』上下 リチャード・パワーズ 柴田元幸/訳 河出文庫 2021.6.28読了 2年くらい前だろうか、リチャード・パワーズさんの『オーバーストーリー』という装丁の素晴らしい単行本が書店にずらっと並んでいて、手にとったものの値段もま…
『世界はゴ冗談』筒井康隆 新潮文庫 2021.6.26読了 表題作を含めた10作品が収められた短編集である。筒井康隆さんの作品を読むのは久しぶりだ。そして彼の短編というのも初めてだ。いや〜、奇想天外なストーリーづくしでたまげる。一話めから、タイトルから…
『ミドルマーチ』1〜4 ジョージ・エリオット 廣野由美子/訳 ★★★ 光文社文庫 2021.6.24読了 ついに読み終えてしまった。いつまでもこの小説に浸りたい、読み終えるのが惜しいという感覚をひさびさに味わえた至福の読書時間だった。期待を裏切ることのない…
『つまらない住宅地のすべての家』津村記久子 双葉社 2021.6.16読了 日本のほとんどの地域で、多くの家の集まりがある。それが密集すると一戸建てなら住宅地、マンションなら団地になる。去年読んだ柴崎友香さんの『千の扉』を思い出した。柴崎さんの作品は…
『月』辺見庸 角川文庫 2021.6.14読了 神奈川県相模原市にある障がい者施設「津久井やまゆり園」で、19人が死亡、26人が重軽傷を負うという凄惨な事件が2016年に起きた。健常者が障がい者を標的にするという信じがたい事件に胸を痛めた人も多く、一方で同時…
『グレート・ギャツビー』フィツジェラルド 野崎孝/訳 ★ 新潮文庫 2021.6.13読了 アメリカの小説を読みたくなる時がある。ポール・オースターさんの作品にしようか迷ったが、この本を手に取る。かなり前に村上春樹さん訳の本を読んだけどいまいちピンとこず…
『大阪』岸政彦 柴崎友香 河出書房新社 2021.6.10読了 生まれ育った街を「地元」という。小さい頃から転勤を繰り返していた私は、どんな環境でもある程度馴染めるという術をおぼえて育った。小学生高学年から一つの地域に長く住んだから、私が「地元」と言え…
『風土』福永武彦 小学館P+D BOOKS 2021.6.9読了 去年初めて福永武彦さんの小説を読み、特に『忘却の河』に圧倒され、今でも読み終えた時の衝撃と感動は憶えている。その福永さんの処女長編作品がこの『風土』である。24歳の時にこの作品の着想を得て、約10…
『予告殺人』アガサ・クリスティー 羽田詩津子/訳 ハヤカワ文庫 2021.6.7読了 ある地方新聞誌の朝刊の広告欄に殺人の予告が出る。これがこの小説の始まり。新聞の広告といえば、求人だったり人探しだったり、昔はペンフレンド募集なんてのもあった気がする…
『六月の雪』乃南アサ 文春文庫 2021.6.6読了 台湾は親日国家として知られる。一度でも台湾を訪れたことがある人は、台湾人に親切にされ、料理も美味しく居心地も良く、好きになるだろう。私もそんな1人だ。つい3日ほど前に、日本から台湾へ新型コロナウイル…
『金閣寺』三島由紀夫 新潮文庫 2021.6.3読了 中学生の時、関東に住む私の修学旅行先は「奈良・京都」だった。修学旅行の思い出を手作り絵本にまとめるという課題が出ており、私は「思い出に残った場所ベスト10」として見開き頁ごとに10位から始まりクライマ…
『少年は世界をのみこむ』トレント・ダルトン 池田真紀子/訳 ハーパーコリンズ・ジャパン 2021.5.31読了 全く知らない作家だし、なんなら出版社も聞いたことがない。2019年にオーストラリアで1番売れた小説らしい。壮大なタイトルと、ペラペラめくった時の…