書に耽る猿たち

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『メソポタミヤの殺人』アガサ・クリスティー|ポアロのやり方には隙がない

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『メソポタミヤの殺人』アガサ・クリスティー 田村義進/訳

早川書房[ハヤカワクリスティー文庫] 2022.4.29読了

 

ソポタミ「ヤ」ではなくメソポタミ「ア」ではないのかな?メソポタミア文明と習ったし通常メソポタミアと発音している気がする。どうでもいいけれどタイトルに違和感を覚えてしまった。日本語読みがメソポタミアなだけで、本来の音はメソポタミヤに近いのだろうか。

学博士ジャイルズ・ライリーが、4年前に起きた事件について看護婦のエイミー・レザランに執筆を依頼する。エイミーが、事件を回想しながら手記を書いているという体になっている。

近東の遺跡発掘現場が今回の舞台である。どうやらクリスティーさんの2度目の結婚相手で生涯の伴侶となったマックス・マローワン氏は考古学者であったようだ。クリスティーさんのメソポタミヤへの旅がなかったらこの作品はなかった。  

跡調査団長エリック・レイドナーは妻のルイーズの健康状態を心配し、信頼できる人に側にいてもらいたいと考えエイミーをその付添い役に依頼する。ルイーズはある手紙のことで頭を悩ませていた。遺跡調査団の宿舎で起こる殺人。誰が何のためにどうやって。ポアロとエイミーが難事件に挑む。

アロのやり方には隙がない。どんな他愛もない噂話にも興味を示し、少しでも可能性があるものについてしらみ潰しにクリアしていき、残されたものの中から真実を浮かび上がらせる。これは遠回りに見えて実は一番確実だ。私たちも、生活をしていて難題にぶつかった時は、こうした手順を踏むのが良いのかも。 

貌のルイーズは男性を虜にする。容姿だけではなく知的さも併せ持ち、かつ魅惑の存在だ。そして看護婦エイミーもまた聡明でありながら手記の中では茶目っけたっぷりでかわいらしい。何よりこの作品の最大の魅力はエイミーの手記になっているという構成だろう。犯人を探るに当たり色んなことを考えてしまった。

の作品はポアロシリーズの中で12番目に書かれた作品である。ポアロは結構読んでいるかなと思っていたけど、実は34作あるうちのまだ1/4ほどしか読んでいないみたい。まだまだ道のりが長い。故にまだまだ楽しめるということ。もちろんミス・マープルもノン・シリーズも。

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