『地面師たち ファイナル・ベッツ』新庄耕
集英社 2024.12.30読了
先日読んだ『地面師たち』の続編である。いかにも「続きがありまっせ」という終わり方をしていた。今回の舞台はシンガポールと北海道であり、外国人も登場してよりグローバルに展開される。
やはり前作で拓海がああなってしまった以上、次なるターゲットというか味方に入れるべき人物が絞られており、それがサッカー選手の稲田である。ここでいうターゲットとは騙して土地を買わせる相手ではなく、ハリソン山中の手中に入れる人物のこと。この作品でおもしろいところは、人間をたらし込むハリソンの手腕だ。
IR誘致を見込んだ苫小牧の不動産詐欺メンバーの一員として、ハリソンはシンガポールで出会った稲田に仕事を依頼する。稲田は日本に戻りデベロッパーの宏彰らと共に準備に入るがプランが突然白紙となってしまう。地面師らは新たなプランに臨み、またしても数百億単位の金を手にすることができるのかー。
前作で圧倒的な存在感を放っていた不気味なハリソン山中は健在だ。ヒグマの性癖に興味を持っている場面なんて、明らかにヤバい。この山中の凄みに読者はハマってしまうんだろうけど。
警察のサクラや、今回地面師被害に合う側のケヴィンなど、本当はもっと掘り下げた人物像を作って欲しかったなというのが正直なところ。そして前作の『地面師たち』の方がおもしろかったのは自明のことだ。おそらく、展開が似ているし最後次回に続く感じも同じパターンだから先が読めてしまったのがある。あとはこれは前作からちゃんと読まないといけないタイプだ。今回のストーリーもNetflixでドラマ化されるのだろうか。もう、トヨエツのイメージができあがってしまっているから他の人が演じるのは厳しいだろうなぁ。