書に耽る猿たち

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『美しいものを見に行くツアーひとり参加』益田ミリ/女子のための旅行ガイド

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『美しいものを見に行くツアーひとり参加』益田ミリ

幻冬舎文庫 2020.12.27読了

 

ラストレーター益田ミリさんの旅行エッセイ。ほっこりしたイラストは見たことがあっても、これが益田ミリさんが描いたものであること、本(エッセイ中心)を多数出されていることは最近になって知った。今年は、夏に国内の近場を1泊したくらいで、旅という旅をしてないから、海外旅行気分を味わいたくて手に取ったのかも。

リさんが40歳になった時、美しいものを観ておきたいと思い立ち、40代で6つのツアーにひとりで参加した記録である。れぞれのツアーについて、景色や食べたもの、買ったもの感じたことについて、ガイドブックのようにわかりやすく書かれていて、その国に少し足を踏み入れた気になれる。今年は全くクリスマス感がなかったから「ドイツのクリスマスマーケット」と、先日読んだ『赤毛のアン』の舞台である「カナダ・プリンスエドワード島」に興味津々になった。

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も、それよりも私がこの本をいいなと思ったのは、ミリさんのイラスト入りの旅行に関するプチ知識や心得みたいなもの。機内に持ち込むモノ、旅行にあると便利なモノ、ひとり参加におけるたしなみ、旅行用ジャンパー(ポケットは高い位置にあるものを選べ!)のことなど。なんか、女子にとっては特に目から鱗。旅行中の出来事を4コマ漫画にしたものやおみやげに買ったものなんかも、ミリさんがイラストにすると味がある。

は20代の時に一度だけ1人で温泉旅行に行ったことがある。女将さんに傷心旅行だと思われていた気がするなぁ。現実的に私が今旅に出るとしたら、夫婦2人旅、もしくは学生時代からの友人(海外も日本もほとんど彼女と旅している)と行くだろう。

も、ひとり旅も良いかもしれないと読んで思った。昔はそんなになかった「おひとり様旅行」「ひとり焼肉」だが、今は当たり前のようにある。それだけ個人志向が高まってきていることと、旅でも生活でも1人で動くことを肯定する風潮が浸透しているからだろう。旅には出たいけど、会社勤めだと色んな制約があって自由には行けないよなぁ。ミリさんのような自由業の人はやっぱり羨ましい!

みやすく親近感が湧く語り口のためさらっと読めた。作家ではないから文体や文章には特に期待していないけれど、イラストを描くだけあって、人やモノ、風景を色んな角度から観察しているんだなぁと感心した。イラストだけでなく、それなりの文章も書けるのはそれだけですごいこと。そのどちらの作業に対しても超プロなのは、エドワード・ケアリーさんだと思う。

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