外国(サ行の作家)
『女には向かない職業』P.D.ジェイムズ 小泉喜美子/訳 ハヤカワ文庫 2022.1.3読了 ハヤカワ文庫では年に一度「ハヤカワ文庫の100冊」というフェアをやっている。去年も9月にラインナップが発表され、各書店で大々的に展開された。2021年は「つながる物語。…
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』トーマス・サヴェージ 波多野理彩子/訳 ★★ 角川文庫 2021.11.18読了 今日から一部の映画館で公開される同名映画の原作である。この作品自体かなり気になっていた。というのも、なんと『ブロークバックマウンテン』を彷彿とさせ…
『狭き門』アンドレ・ジッド 中条省平・中条志穂/訳 光文社古典新訳文庫 2021.10.14読了 聖書・マタイによる福音書七章抜粋 狭き門より入れ、滅びにいたる門は大きく、その路は広く、これより入る者おほし。生命にいたる門は狭く、その路は細く、これを見出…
『狼王ロボ シートン動物記』シートン 藤原英司/訳 集英社文庫 2021.10.10読了 子供の頃に夢中になって読んだ『シートン動物記』と『ファーブル昆虫記』。全巻揃えたのか図書館で借りて読んだのかは覚えていないけれど、動物や昆虫など生き物について学ぶの…
『ロデリック・ハドソン』ヘンリー・ジェイムズ 行方昭夫/訳 講談社文芸文庫 2021.8.28読了 この作品の存在は知らなかった。ヘンリー・ジェイムズさん最初の長編小説ということで、60年ぶりに新訳になったそうだ。恋愛小説のカテゴリになるのだと思うが、芸…
『結婚という物語』タヤリ・ジョーンズ 加藤洋子/訳 ★ ハーパーコリンズ・ジャパン 2021.7.15読了 赤の他人同士が「結婚」という契約を結んで、一緒に暮らしていく。人生を共にすること。家族をつくること。多くの人が生まれた時から一緒に住む親子の関係と…
『ホワイト・ティース』上下 ゼイディー・スミス 小竹由美子/訳 中公文庫 2021.7.6読了 新潮クレスト・ブックスで刊行されているのだが、絶版になり手に入りにくかったこの作品。このたび中公文庫から復刊されたのを知り、思わず書店でにんまり。 疾走感あ…
『ならずものがやってくる』ジェニファー・イーガン 谷崎由依/訳 ハヤカワepi文庫 2021.3.30読了 2011年のピューリッツァー賞フィクション部門受賞作である。「ならずもの」とは何なのか?全く予想がつかず、一体どんな話なんだろう?と興味津々で読み進め…
『ロード・ジム』ジョセフ・コンラッド 柴田元幸/訳 河出文庫 2021.3.20読了 ジムという1人の人間のことを、マーロウの視点で描いた壮大なる物語。マーロウといえば、チャンドラー作品に出てくる探偵フィリップ・マーロウが思い浮かぶけれど、ここではチャ…
『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』ジェフリー・ユージェニデス 佐々田雅子/訳 ハヤカワepi文庫 2021.2.22読了 このタイトルにまず目を見張る。なんといっても「ヘビトンボ」だ。トンボの一種で、大顎で噛みつく習性を蛇にとらえてヘビトンボと名付け…
『マーティン・イーデン』ジャック・ロンドン 辻井栄滋/訳 白水社 2021.2.20読了 ジャック・ロンドン氏の作品で最も有名なのは『野性(荒野)の呼び声』だろう。私も去年読み、大自然の雄大さと生きるエネルギーを堪能した。この『マーティン・イーデン』は…
『アメリカン・プリズン 潜入記者の見た知られざる刑務所ビジネス』シェーン・バウアー 満園真木/訳 東京創元社 2021.2.4読了 アメリカの人口は世界の5%であるのに、囚人数はなんと世界の25%を占めている。序章で語られたこの数字を見て驚く。確かに銃社会…
『一九八四年』ジョージ・オーウェル 高橋和久/訳 ★ ハヤカワepi文庫 2021.1.26読了 この小説、読んだ人も多いと思うが、読んでいなくても存在自体はほとんどの人が知っているのではないだろうか。書店に行けばハヤカワ文庫の棚に平積みされているし、紙の…
『コレクションズ』上下 ジョナサン・フランゼン 黒原敏行/訳 ハヤカワepi文庫 2021.1.23読了 現代アメリカにおける国民的作家の1人、ジョナサン・フランゼンさんについに手を伸ばしてしまった。『ピュリティ』や『フリーダム』が気になっていたのだが、分…
『ナイン・ストーリーズ』J.D.サリンジャー 柴田元幸/訳 ヴィレッジブックス 2021.1.14読了 サリンジャーさんの作品は、どこか爽快なイメージがある。例えその小説が悲劇だとしても。読んだ作品の数はそう多くないのに、ふと思い出した時に読みたくなる類…
『アウグストゥス』ジョン・ウィリアムズ 布施由紀子/訳 作品社 2021.1.9読了 ローマの古代史、紀元前1年にローマ帝国が地中海世界を支配した時代を描いた作品である。その後は平和な200年と言われる「パックス・ロマーナ」になる。私は結構な年齢になるま…
『集英社ギャラリー[世界の文学]18 アメリカⅢ』ベロー、ボールドウィン、バース 集英社 2021.1.2読了 集英社が1989年から刊行した世界文学全集全20巻のうちの1冊、通し番号としては18でアメリカの3巻めである。巻末の紹介では「病める現代アメリカをえ…
「マーティン・ドレスラーの夢』スティーヴン・ミルハウザー 柴田元幸/訳 ★ 白水Uブックス 2020.11.23読了 今年の夏にスティーヴン・ミルハウザーさんの『エドウィン・マルハウス』を読んで、その独特な世界観に圧倒された。次は柴田元幸さん訳の作品を読も…
『ファインダーズ・キーパーズ』上下 スティーヴン・キング 白石朗/訳 ★ 文春文庫 2020.10.8読了 ちょうどひと月ほど前に読んだ『ミスター・メルセデス』の続き、ホッジズ刑事シリーズの2作目である。前作が面白かったからすぐに買っておきスタンバイしてい…
『ミスター・メルセデス』上下 スティーヴン・キング 白石朗/訳 ★ 文春文庫 2020.9.2読了 久しぶりのキング作品だ。キング氏の小説を読むときは、軽い気持ちで読めないから心して挑む。この作品はのちに続く『ファインダーズ・ キーパーズ 』『任務の終り』…
『真夜中の子供たち』上下 サルマン・ラシュディ 寺門泰彦/訳 岩波文庫 2020.8.15読了 元々早川書房から単行本として刊行されていたが、このたび岩波文庫より装い新たに刊行された。ブッカー賞を受賞し『百年の孤独』以来の衝撃と称されたこの作品、読まな…
『フラニーとズーイ』D.J.サリンジャー 村上春樹/訳 新潮文庫 2020.8.12読了 この作品、まだ未読だった。サリンジャー作品は『ライ麦畑でつかまえて』しか読んだことがない。タイトルと中身のギャップがこんなにもある作品は『ライ麦〜』の右に出るものはな…
『エドウィン・マルハウス』スティーヴン・ミルハウザー 岸本佐知子/訳 河出文庫 2020.8.4読了 柴田元幸さんはおそらく文学界の中では一番有名な翻訳家であり、イコールポール・オースターさんの作品、というイメージの方も多いだろう。他に、柴田さんが影…
『シェイクスピア&カンパニー書店の優しき日々』ジェレミー・マーサー 市川恵理/訳 河出文庫 2020.7.29読了 フランス・パリにある「シェイクスピア&カンパニー書店」は本好きな人の聖地である。名だたる作家たちが集い、生活してきた場所だ。とは言っても私…
『歌え、葬られぬ者たちよ、歌え』ジェスミン・ウォード 石川由美子/訳 作品社 2020.6.18読了 いや、この小説のタイトルやばいですよね。カッコよすぎ!英語の原文だとどんなニュアンスなのかはわからないけど、日本語訳のこの表現は素晴らしい。この作品は…
『荒野の呼び声』ジャック・ロンドン 海保眞夫/訳 岩波文庫 2020.6.9読了 ハリソン・フォードさん主演で映画化された『野性の呼び声』の原作である。ジャック・ロンドン氏といえば動物を題材にした本を書く人、というイメージだ。彼の作品を読むのは初めて…
『ずっとお城で暮らしてる』シャーリイ・ジャクスン 市田泉/訳 創元推理文庫 2020.5.30読了 シャーリイ・ジャクスンさんの本は実はまだ読んだことがなくて、中でもこの小説のことはずっと気になっていた。色々と書評にあがることも多いけど、何よりもこの表…
『戦争は女の顔をしていない』スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 三浦みどり/訳 岩波現代文庫 2020.4.12読了 非常に重たい内容だった。読み終えた時に、ようやく終わったとホッとした。 途中から読み進めるのが辛くなってきたのだ。この本は、著者が500人…
『荊(いばら)の城』上下 サラ・ウォーターズ 中村有希/訳 創元推理文庫 2020.3.31 読み始めたらすぐにディケンズの『オリヴァー・ツイスト』が出て来た。つい先日読んだばかりだから、盗賊ビル・サイクスの名前も覚えていた。そう、この『荊の城』は、イ…
『ホビットの冒険』J.R.R.トールキン 瀬田貞二/訳 岩波書店 2019.10.12読了 ハリーポッターシリーズはほとんど読んだけど、ロード・オブ・ザ・リング(指輪物語)シリーズは映画を少し観ただけで、原作は読んだことがなかった。『指輪物語』の前日譚とし…